2004年11月26日金曜日

マノン・レスコー

no image
マノン・レスコー
posted with amazlet at 04.11.25
アベ プレヴォ Abb´e Pr´evost 河盛 好蔵
岩波書店 (1957/06)
売り上げランキング: 73,223
通常2日間以内に発送
おすすめ度の平均: 5
5 パンに不自由しながら人は恋を語れるのでしょうか

原書は、HISTOIRE DE MANON LESCAUT ET DU CHEVAILER DES GRIEUX。
アベ・プレヴォが1731年に刊行し、この岩波文庫は1753年に加筆し再出版したものを原著としている。
日本語に訳すなら、シュバリエ・デ・グリューとマノン・レスコーの物語とでもなるのだろうか?

古典文学に詳しい方なら、以前私が紹介したモンテクリスト伯爵と並び聞いたことはあるかと思う。
300年近くたった今でも、恋愛小説の金字塔であり、そして文学としては最初に女性を特に売春婦的な女性を如実に描いたのはこの作品であると思う。

売春婦的といったが、言うまでもなくこれはこの作品のヒロインであるマノン・レスコー嬢のことである。
しかしながら、彼女マノンは決して売春婦足りえる女性ではない。
主人公であり、物語の語り手でもあるシュバリエ青年を、愛し死ぬまで愛し続けその愛は一点の曇りもなく続いた。
もちろん、シュバリエ青年も然りである。

しかし、マノン嬢は快楽を愛した。その快楽のためならば己の身を金に買えることをいとわない女性であったのだ。
そして、不幸は始まった。

この作品は、美しい愛を描いたものではないと私は思う。

愛とはすばらしい。
しかし同時に、つらく、重く、挙句には不幸をも呼ぶものであると作品は語っているのではあるまいか?

この作品を、短く説明したりしたくないので興味がある人は呼んでいただきたい。
一冊なので、すぐに読めるかと思う(岩波なので字数こそ多いがそれもまた一興)

端的に、感想を言うと男性とは平穏を求めたそぶりをしつつもこういった女性に弱く、またこういった女性にめぐり合ってしまえば、
歯車は狂うものではなかろうか。と

注釈しておくと、私は別にベタベタな恋愛小説の類は余り好きではない。
この作品は、人の心の明暗を恋愛という感情の中でも特に偏りの激しいものを主題として描いている。
決して、ただのありきたりな恋愛小説ではないので毛嫌いされている方もよんでみてはどうだろうか?

それと、この小説はアベ・プレヴォの自叙伝とも言われている。
真実かどうかは知らないが、そういった事を思って読むのも一つ楽しみが増えるかもしれないw

0 件のコメント:

コメントを投稿

素材集

FreePhoto